インドネシア最大のスタートアップGojekがコロナ禍でいくつかのサービスをクローズし、新サービスを展開しました。そんなGojekの最新の動向から伺えるスーパアプリの戦略について解説をしたいと思います。
今回の記事のソースについては、末尾でご紹介しています。
Gojekのスーパアプリ戦略の概要
- Gojekは、元々バイクタクシーのシェアリングサービスから始まり、そこから横展開して様々な分野のシェアリングサービスを提供していた。
- 昨年末から、Gojekは事業の「選択と集中」を進め、多角化していたいくつかの自社サービスをクローズし、コア事業を配送と配車、決済(GoPay)、フードデリバリー(GoFood)、デジタルコンテンツ(GoPlay)の4つの分野に絞った。
- 一方、サードパーティ企業と連携して自社のコア事業と親和性の高いサービスを徐々に増やしている。
- つまり、Gojekのスーパーアプリ戦略とは、多角展開したサービスの中から自社の強みとなるサービスを取捨選択し、残ったコア事業を強化する。一方で、サードパーティとの連携を進めることで、サービスを拡充し、スーパーアプリ化を進めるというものである。
- このGojekのスーパーアプリ戦略は新型コロナウイルス(以下コロナ) が発生してから加速した。
Gojekがコロナ以降にクローズしたサービス
- Gojekは6月にGoLifeのGoMassageおよびGoCleanとGoFood Festivalsの事業を発表した。
- (背景) GoLifeは、日常生活に関連するオンデマンドサービスの総称である。
- GoLifeには、GoLaundary (オンデマンド洗濯)やGoFix (オンデマンド修理)やGoGlam(オンデマンド美容師)など複数のサービスが含まれていた。
- しかし、いくつかのサービスの成長は鈍化しており、昨年末から今年のはじめにかけてそれらのサービスをクローズした。
- そして今回残っていた2つのサービスGoMassage (マッサージ師の派遣)とGoClean (清掃員の派遣) もクローズすることとなった。
- また、飲食屋台が立ち並ぶフードコートを提供するGoFood Festivalsもクローズした。
- どちらとも新型コロナウイルスによって利用者が大きく落ち込んだことが大きな理由だった。
Gojekがコロナ以降にリリースした新サービス
- GoMed
- GoMedは、医師によるオンライン診療サービスである。
- コロナ発生後すぐに医療プラットフォームのHalodocとの提携のもとリリースされた。
- 5月には、コロナに関連する医師とのオンライン相談サービスを提供していた。
- GoInvestasi
- GoInvestasiは、金融商品の売買ができるオンライン投資サービスである。
- ゴールドのオンライン投資プラットフォームのPluangとの提携のもと5月にリリースされた。
- 利用者は、Gojekの決済サービスGoPay経由でゴールドの売買をすることができる。
- GoService
- GoServiceは、納税や行政手続きなどをアプリを通じて行えるサービスである。
- e-governmentサービスのJumpaPayとの提携のもと7月にリリースされた。
- JumpaPayは、車両登録証の延長や自動車税の支払いなどをオンラインでできるようにしている。
- 現在は、GoPayのアプリで車両のナンバープレートの更新にかかる支払いをできる。
- GoSend Intercity
- GoSend Intercityは、4月にリリースされた都市間の長距離配送サービスである。
- 元々GoJekは自社の配送サービスのGoSendを提供していたが、40キロを超える配送はできなかった。
- ロジテック企業のPaxelとの提携により40キロを超える長距離配送ができるようになった。
- Gojekはその他にもサードパーティ企業と組んで、GoGive (オンライン寄付サービス)、GoSure (オンライン保険)、GoFitness (オンラインフィットネス)などを昨年からリリースしている。
- これらのサードパーティ企業にとっての主なメリットは、インドネシア国民の多くが利用しているGojekアプリを通じて、より多くの消費者にリーチができることである。
- サードパーティと組んでいない新サービスとしては、8月に発表されたばかりのGoTransitがある。
- GoTransitは、乗り換え案内サービスで、目的地までの公共交通機関を使ったルート検索ができる。
- アプリ内で、そのままGojekの配車サービスの予約ができるのが特徴である。
- GoTransitは、Gojekの配車サービスを補完するサービスであり、コア事業を強化をする狙いがある。
所感
- 今回の記事を通してGojekのスーパーアプリ戦略の全貌が明らかになった。
- 初期の段階に、試行錯誤で色々な新規事業に手を広げ、成長性の高い事業を見定める。
- そして、コア事業を中心に、大量のユーザーベースを獲得することで、それがアンフェアアドバンテージとなり、サードパーティ事業者との提携をどんどん進めていく。
- ここでサードパーティと組む上でキーとなる事業は、GoPayの決済である。
- どのサービスと連携をしても、支払いをGoPay経由で行わせることで、Gojekは手数料と取引額を稼ぐことができる。
- サードパーティにサービスの運営は任せ、決済のところだけGoPayで行わせることで、Gojekはローコストでハイリターンを生み出すことができる。
- これは日本のLineやPayPayも今後狙っている戦略であろう。
- アプリを充実させればさせるほど、スーパーアプリへの依存度は高まるので、今後もGojekはサードパーティとの連携を加速させていくことだろう。
ソース:Kr-Asia、The Jakarta Post、Tech In Asia
Investnesiaについて初めてという方は、まずはこちらをお読みください。

Investnesia紹介記事当サイトに訪問いただきありがとうございます。こちらの記事では、Investnesiaについてご紹介します。
Investnes...