インドネシアビジネスとスタートアップ投資の今
インタビュー

インドネシアの食料品のマーケットプレイスのリーダーのHappyFreshが、 オンラインの体験を最大化するために重視していること【インタビュー】

今回は、インドネシアの食料品マーケットプレイスのHappyFreshのManaging DirectorであるFilippo Candrini氏にインタビューを行いました。

Filippo Candrini氏は、2015年にHappyFresに参画する以前は、オンラインフードデリバリースタートアップ のFoodPandaのベトナム法人にてオペレーションディレクターをしていました。

今回のインタビューでは、インドネシアのEコマース市場のポテンシャル、HappyFreshのビジネスについて、また、今後の日本企業との連携の意向について伺いました。

まず、はじめにHappyFreshのサービスについて教えてください。

HappyFreshは、シンプルかつ簡単に利用できる食料品のオンラインマーケットプレイスです。スーパーマーケットやケーキ屋などの専門店といった食に関するあらゆる買い物の体験をオンラインで提供しています。海外では、マレーシアとタイで、インドネシア国内では、4つの主要な都市で展開しています。

HappyFreshは自社でデリバリーも行っています。当日配送から遅くても3日以内に配送し、利用者は配送時間を指定することもできます。デリバリーは、自社のアプリやウェブ、スーパーなどで商品を集荷を行うパーソナルショッパーと呼ばれる集荷人、商品を配送する配送員によって構成されています。

また、HappyFreshでは、利用体験を最大化するために、配送ボックスに断熱材を利用したり、渋滞などの混雑時でもスピーディーに商品をお届けするために配送手段はバイクといった工夫をしています。ここまでが私たちが利用者に対して行っていることです。

次に、toBの観点では、私たちは、スーパーマーケットなどに対して、簡単かつ固定費がかからないオンラインマーケットプレイスに出店する機会を提供しています。また、日用消費財ブランドが、広告を打って商品を直接届けることができるプラットフォームでもあります。

さらに付け加えてHappyFreshでの買い物は、簡単かつ便利なだけではなく安全であることも強調したいです。現在、新型コロナウイルスが蔓延している中で、安全に消費者に届けられるように、配送員にフェイスシールド、マスク、消毒液などを提供し、手をこまめに洗うように指示しています。その他、家の前に商品を置いておく非接触の配送手段なども提供しています。

HappyFreshのアプリ

 

どうしてスーパーの店員ではなく、HappyFreshのパーソナルショッパーが商品を集荷されているのでしょうか?

それは、消費者視点で質の高いサービスを提供することを心掛けているからです。HappyFreshのパーソナルショッパーは、アプリの利用方法、商品のピッキング、消費者とのやりとりなどについて一定の研修を受けています。例えば、もし店頭に注文した商品の在庫がなかった場合に、チャットツールを利用して消費者に連絡を取り、別の商品に取り換えたりするなど、即時に柔軟な対応をすることができます。そういったことが、利用者から私たちのサービスに対しての信頼につながるのです。

HappyFreshのパーソナルショッパーのイメージ

HappyFresh提供

ありがとうございます、次の質問に移りたいと思います。HappyFreshはどのようにして始まったのでしょうか?

HappyFreshは2014年後期に創業され、2015年の第一四半期にオペレーションを開始しました。私たちのサービスがどのように始まったかというと、共同創業者の一人であり現CTOのFajar Budiprasety氏の個人の体験に基づく強いニーズから生まれました。彼は、奥さんとの買い物する際に、いつもショッピングカートを押す役割をしていたのですが、それにペインを感じていました。また、同時期に、グローバルにオンラインショッピングのトレンドがあることに気付き、HappyFreshを創業するに至りました。

 

なるほど、それではどういった人がHappFreshを利用しているのでしょうか?

デジタルの時代に突入していく中で、新しく生まれるカップルや家族の食料品の購入体験は変わっていっています。そして、HappyFreshが一般的な他のEコマースと大きく異なる点が、この顧客の属性です。私たちの顧客の80%は女性顧客であり、そのうちの多くが新しく家庭を持ち始めた女性です。なので、顧客の60%が25歳から40歳に属しています。

HappyFreshは、新しい家庭で初めて食料品の購入の意思決定者となる女性を手助けするために、料理のレシピなど役に立つ情報を提供しています。特に、渋滞などが発生しやすく、スーパーに買い物しに行くのも大変な都市部の人々の課題に取り組んでいます。HappyFreshを通じて、退屈な買い物時間を節約し、新しくできた余暇の時間を満喫してもらいたいのです。

 

インドネシアの食料品オンラインマーケットのポテンシャルについてどのように考えていますか?

もちろん新型コロナウイルス以降、オンラインサービスの利用は全般的に加速したと言えます。HappyFreshもその恩恵を受けた企業の一つであり、大きな需要の増加が見られました。3月の中旬には前月比でトラフィックが約5倍増加しました。そしていまだに増加分を維持しています。

新型コロナウイルス以前の予測では、食料品のEコマースの浸透率は全体の約2%ぐらいで、2025年には5%になると予測されていました。しかし、コロナの影響によってこの数値はより早く達成されると思っています。

一方、新型コロナウイルス以前でも、食料品のオンラインマーケットプレイス市場は発展していたといえます。元々、食料品のオンラインマーケットプレイスは、電化製品やファッションなどの後にできた最後のEコマース分野です。後発になった理由は、食料品の買い物体験というものが、個人の体験要素が強く、多くの人が実際に商品を手に取って購入したくオンライン化するのが難しかったからです。

実際、HappyFreshができる前は、東南アジアで食料品のマーケットプレイスを提供できているところはありませんでした。そんな中、HappyFreshがこの分野でのパイオニアになりました。そして他のマーケットプレイス型のEコマース企業が、追随してカテゴリーの一つとして食料品の提供を始めました。この動きは過去3、4年で加熱しています。

今は、新型コロナウイルスもあってとても興味深い時期と言えます。21世紀はオンラインとオフラインの境目がなくなりつつあり、消費者はオンラインとオフラインの間を行き来しています。例えば、オフラインの店舗で商品を見つけて、オンラインで購入するということもあります。そんな中、新型コロナウイルスの影響でオフラインの活動が制限される中、これから消費者の購買がどのようになっていくのかを予測するのは非常に難しいですが、興味深いテーマだと思います。

 

HappyFreshの競合他社はどういったところで、その中でHappyFreshはどのようなポジショニングをされていますか?

HappyFreshは、事業開始の当初からオンラインスーパーに特化しています。購買体験が異なるので、他のEコマース分野に参入することも予定していません。私たちの主な競合他社は、一般的なEコマースや野菜の直販ビジネスから派生したところ、または自社でオンライン販売を始めたスーパーマーケットなどです。

それらのオンラインの食料品マーケットプレイスの中でも、HappyFreshはうまくポジショニングをしていると言えます。以前に、弊社が行ったブランド調査では、インドネシアの消費者が、頭に思い浮かベるオンライン食料品店で、HappyFreshの名前がトップポジションに位置していました。

しかし、私たちにとっては、競合他社よりも、消費者をオンラインの買い物体験に移行させることの方が大きな課題です。なぜならオンラインであれば直接商品を触って感じることができないなどの課題が残り、オンラインの購買体験の良さを理解してもらうのが難しいからです。

一方で、HappyFreshはオンラインプラットフォームならではの強みも持っています。私たちは、食料品のマーケットプレイス専有のアルゴリズムを通じて、顧客のことをより理解するようにしています。そうすることで、一人一人の顧客の属性情報や嗜好や過去の購買履歴に連動して、商品のリスティング情報やプロモーション情報などが、個別に最適化されます。

これがオフラインであれば自分が欲しい商品が見つかるまで、店内を行ったりきたりするといった面倒さが発生します。HappyFreshを使うことで、誰でもすぐに欲しい商品が見つかるような仕組みになっているのです。これは私たちが初期から食料品のマーケットプレイスのみに特化しているからできることだと言えます。他社では、ここまで深いレベルの集中投資は行えないでしょう。

その他の私たちの大きな強みとしてスーパーマーケットとのパートナーシップがあります。この強固なパートナーシップのおかげで、例えば、氷を一緒に配送して欲しいなどの顧客からの要望に対して、柔軟かつきめ細やかに対応ができます。また、毎日お店の在庫情報を得ることで、購入できないリスクを減らします。これらのこと全てが、最終的には顧客体験の向上につながります。

 

大変興味深いです、どのようにしてスーパーマーケットを獲得しているのでしょうか?

スーパーマーケットがHappyFreshを選ぶ理由は、食料品の購入に特化した顧客属性と質の高いサービスの2点があります。私たちのアプリの利用者の100%が、食料品の購入に関心があります。他のECサイトは、大きな顧客基盤を持つかも知れませんが、必ずしも食料品の購入のニーズがあるわけではありません。質の高いサービスという点で言えば、研修を受けた集荷人や保冷や保温ができるカバンやボックスを利用していることなどがあげられます。これらの2点がスーパーマーケットに喜ばれるのです。

 

HappyFreshの今後の展開について教えてください。

まず、新型コロナウイルスの影響で急激に増加した顧客を理解し、維持することが重要だと考えています。これはなぜかというと、新型コロナウイルス以降、男性や高齢者など典型的なHappyFreshの顧客像と異なる利用者が増えているからです。新しい消費者のペルソナを設定し、ニーズを理解することは課題と言えます。

次に、新しく顧客のロイヤリティや継続率を向上させるモデルの開発に注力する予定です。例えば、ロイヤリティプログラムなどを検討したりしています。

そして、コロナで様々な動きが制限されていますが、インドネシアの他の地域に展開していくことも計画しています。

 

最後の質問になります。日本企業との連携に関して、どのような形がありうるのでしょう?

はい、まずはじめに私たちはスタートアップ投資に対してとてもオープンです。私たちの事業は東南アジアの市場にフォーカスしていますが、これまでに東南アジアに限らずヨーロッパや中東など幅広い投資家から出資を受けています。HappyFreshへの投資を東南アジアにアクセスする機会ととらえてくれる投資家を歓迎します。

投資において、私たちは戦略的投資を重要視しています。私たちのビジョンや事業にフィットする投資家を探しています。戦略的という点では、例えば、他の地域に参入や技術的な連携などがありえると思います。

その他には、インドネシアに拠点を持つ海外の商工会議所と連携した実績があります。日本のブランド企業や組織が、インドネシアや他の東南アジアの国で新しく商品を展開するのや既存のポジションを強くすることを支援することができます。

具体的には、広告やプロモーションやブランド調査などがあげられます。例えば、HappyFreshが持つ顧客基盤を通じて、新商品の開発に必要な顧客を特定し、消費者調査などを実施することができます。特定の商品のテストマーケティングもすることもできます。

インドネシアのスーパーマーケットはマスマーケットからミドルやハイエンドのマーケットなどが、販売チャネルは非常に多様であるといえます。HappyFreshは、そんなインドネシアの大手のスーパーマーケットのほとんどと提携をしているので、私たちと組むことであらゆる顧客層のスーパーマーケットともつながることができます。

 

ありがとうございました。インタビューの質問は以上になります。最後に、インドネシアの市場に興味がある日本企業に向けてのメッセージをください。

インドネシアの市場はとても魅力的ですが、同時に、法人の登録や法務手続きや販路獲得などがとても難しいです。なので、インドネシアの市場をガイドしてくれる適切なローカルパートナーを見つけることが非常に重要と言えます。特に、食品・飲料事業には、安全基準や証明書など多くの規制が存在し、企業はそれらを守る必要があります。その点で、HappyFreshはすでにブランド企業と提携をした実績を持ちますので、日本の企業でインドネシアの市場にこれから参入を検討しているところはぜひお声がけください。

 

日本の企業に向けて参考になるアドバイスをありがとうございました!

HappyFreshにご連絡を取りたい方は、info@investnesia.comにお問い合わせください。

こちらのインタビューは2020年9月24日に敢行されました。

 

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