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実はアジアで4番目に多い!Y Combinatorから採択されたインドネシアスタートアップ9社

今回の記事では、アメリカのシードアクセラレーターY Combinatorによって採択された9社のインドネシアのスタートアップをご紹介いたします。いつもよりも文字数が多いので、目次を用意しました。

Y Combinatorについて

Y Combinator (通称 YC) は言わずと知れたシリコンバレーを代表するシードアクセラレータである。年に2回、夏と冬のバッチがあり、採択されたスタートアップは12.5万ドルのシード投資と3ヶ月にわたるアクセラレーションプログラムを受けることができる。これまでにAirbnb、Dropbox、Stripeなどの数々の有名スタートアップに投資をした実績から、Y Combinatorに採択されたスタートアップにはYCブランドがつき、一定の評価を受けることとなる。

Y CombinatorのHP

実際、Y Combinatorには世界中のスタートアップから応募が送られるので、狭き門をくぐり抜け、採択されたスタートアップが選りすぐりの企業であることは疑う余地がない。ここで、東南アジアと東アジアの国別のスタートアップの採択企業数を見てみると、インドネシアはシンガポール、中国に次いで3番目に多い (77社のインドを含めるとアジアでは4番目) 。このことからYCはインドネシアの市場およびスタートアップのポテンシャルを高く評価していると言える。

採択された9社のインドネシアスタートアップの分野は多岐にわたるが、その中ではフィンテック分野が4社と一番多い。また、採択された時期に目をやると、2018年と2019年は2社、2020年には3社と近年のYCのインドネシアへの強い関心が伺える。それでは以降で各社の事業について紹介をする。

Newman’s – 男性向けのデジタルヘルスクリニック

Newman’sのHP

Newman’sは、インドネシア初の男性の健康の悩みにフォーカスしたヘルスケアスタートアップだ。主に、脱毛、性機能障害、喫煙依存症などの男性にありがちな健康の悩みに取り組んでいる。

課題:インドネシアのいくつかの地域では、それらの悩みはネガティブなものとして捉えられていて、男性が相談や治療を受けづらいと言った大きなペインがある。

ソリューション:Newman’sはその課題に対して、専門家によるオンラインでの医療相談サービスと医薬品の販売をオンラインで行っている。直接、製薬メーカーと協力することを通じて、薬の価格も安価に抑えている。

創業者:3人の共同創業者は、全員がカリフォルニアのUSCの卒業生である。それぞれがコンサルキャリア、元Travelokaのエンジニア、アメリカのビジネススクールのMBAと異なるキャリアを持つ。

投資家:Y Combinator

Pahamify – 高校生向けの大学受験対策アプリ

PahamifyのHP

Pahamifyは、インドネシアの高校生向けのオンライン学習プラットフォームである。大学受験のための補助教材を提供している。

特徴:他のエドテック企業と異なるPahamifyの強みは、効果的な学習を支援する独自コンテンツである。具体的には、科学に基づいた能率的な学習フレームワーク、勉強の持続性を促すアニメーション学習動画、ゲーミフィケーションを用いたクイズなどがある。

創業者:3人の共同創業者は、全員がインドネシア最高峰の工科大学であるITB出身である。うち2人はシンガポールのトップスクールでの博士号を保有し、コンサルタントとしての経歴を持つ。

投資家:Y Combinator, Youtube (株式持分なしの助成金)

BukuWarung – 小規模小売店向けの会計アプリ

BukuWarungのHP

BukuWarungは、小規模事業者向けのファイナンスアプリを提供している。アプリは現金支払いや信用取引を管理できるデジタル簿記の機能を持つ。

課題:インドネシアに存在する6000万の零細企業の多くは、いまだに手作業で帳簿管理や会計業務を行っている。そして多くが銀行などの金融機関のサービスを受けることができていない。

ソリューション:BukuWarungのモバイルアプリは、信用取引、経費、売上などの記録をデジタル化し、ビジネスレポートを発行することで、キャッシュフローの見える化を行う。また、自動で送られる支払いのリマインダー機能により事業者は通常より早く返済を受け取ることができるので、キャッシュフローの改善に繋がる。

創業者:インド出身の二人の創業者は、共にスタートアップでの事業開発の経験が豊富で、創業する前は東南アジア最大のフリマアプリCarousellで働いていた。

投資家:East Ventures, Golden Gate, AC Venturesなど

Shipper – Eコマース事業者などの配送を最適化を支援するツール

ShipperのHP

Shipperは、Eコマース事業者などに配送を管理できるダッシュボードを提供している。最も効率的かつ最安値の配送手段を提案する。

課題:インドネシアでは、物流のインフラが整備されていないという業界課題がある。具体的には、配送オプションが限定的、配送価格の不透明性、倉庫業務の複雑性などがあげられる。結果として、配送料が高くなり、Eコマースでの売買が抑制されてしまう。

ソリューション:Shipperは、大手を含む100以上の配送業社と配送センターと倉庫と手を組み、利用者にとって最適な配送業社を提案する。その他には、追跡サービスや配送レポートなどを提供する。

創業者:共同創業者の一人は、スタンフォード大学卒で、マッキンゼーで働いた経歴を持つ。

投資家:Lightspeed Venture, Floodgate, AC Ventures, Insignia Venturesなど

EdenFarm – 地域の生産者と事業者をつなぐ生鮮食品の流通サービス

EdanFarmのHP

EdenFarmは、新鮮な野菜などを農家から直でレストランやカフェに届ける流通サービスを提供している。

課題:インドネシアの複雑なフードサプライチェーンでは、中抜きが発生するので農家の収入が低く、農作物の価格変動が起きやすいので飲食店側の負担も大きいといった課題がある。

ソリューション:EdenFarmは、事業者が直接農家から野菜を購入できる注文アプリを提供している。このアプリによって中間業者を省くことができ、価格の透明性をもたらし、農作物の価格が安定、そして中抜きも起きないので農家の収入も向上する。

創業者:3人の創業者は、全員MBAを取得しており、うち2人はロジスティクスの会社で働いた経験を持つ。

投資家:EverHaüs, Soma Capital, Global Founders Capitalなど

Super – インドネシア初のソーシャルコマース

SuperのHP

Superは、日用品に特化したソーシャルコマースである。Superのアプリを通じて、個人が様々な商品を販売できるようになる。具体的には、商品のリスティングから、配送網の構築、インスタグラムなどSNSでの購買を促進するコミュニケーションなどをサポートする。

創業者:共同創業者のうち一人はコロンビア大学の修士号を取得している。

投資家:Alpha JWC Ventures, Insignia Ventures, Arriveなど

Ajaib – 若者向けのオンライン投資アプリ

AjaibのHP

Ajaibは、個人向けの投資アプリである。投資初心者でも利用できるように比較的リスクの低い投資信託などの金融商品を提供している。

課題:インドネシアではミドルクラスを中心に投資への興味が増えているが、ファイナンスに関する知識がなく、参考にできる情報ソースも多くないと言った課題がある。

ソリューション:Ajaibは、ユーザーの目標とリスク特性をもとに、パーソナライズ化されたポートフォリオを提案する。この分かりやすい機能によって、ユーザーが投資を始めるのを手助けする。

創業者:共同創業者の2人は、スタンフォード大学のMBAを取得しており、マッキンゼーとBCGと言ったティア1のコンサルティングファームで働いた経験を持つ。

投資家:Softbank Ventures, Alpha JWC Ventures, Insignia Venturesなど

PAYFAZZ – 誰でも利用できる金融アプリ

PAYFAZZのHP

PAYFAZZは、銀行口座を持たない人でも利用できる決済アプリである。

課題:インドネシアでは、人口の50%以上が銀行口座を保有しておらず、75%以上が融資、投資、保険などの金融サービスを利用できないという課題がある。

ソリューション:小規模店舗などの代理店を介して、PAYFAZZのアプリへの現金のチャージを可能にすることで、誰でもアプリで金融サービスを利用できるようになる。例えば、電気料金の支払いや融資サービスや携帯プリペイドの購入などがある。

創業者:3人の共同創業者は、TravelokaやTiket.comなどのテック企業で働いた経験を持つ。

投資家:Vertex Ventures, Tigar Global Management, MDI Ventures, BRI Venturesnなど

Xendit – 中小企業向けの決済ゲートウェイ

XenditのHP

Xenditは、決済インフラを提供するB2Bのフィンテック企業である。創業当時は、P2P決済のモバイルウォレットを主事業としていたが、様々な壁にぶつかりB2Bの決済インフラ事業にピボットした。使い勝手の良いUI・UX、低い手数料、組み込みやすいAPIなどがうりである。QR決済やURL決済など様々なニーズにも対応している。

創業者:3人の共同創業者は全員アメリカのUC Berkelyを卒業しており、Expedia, BCG, Rippleなど名だたる企業で働いた経歴を持つ。

投資家:East Ventures, Golden Gate, AC Venturesなど

おわりに

いかがだったでしょうか? インドネシアのスタートアップが9社もY Combinatorに採択されているということをご存知なかった人もいるのではないでしょうか。YCも関心を寄せているインドネシアのスタートアップ市場はとてもポテンシャルがあります。今後もInvestnesiaでは、引き続き注視していきたいと思います。

インドネシアのビジネスに特化したメディアInvestnesiaでは、そんなインドネシアのスタートアップの投資動向やビジネストレンドを配信しています。これからも成長が期待されるインドネシアのスタートアップ市場にご興味ある人は是非フォローお願い致します。

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